はじめに
今回取り上げる契約書(テーマ)は、IT(システム・プログラム開発)関連の業務委託契約書です (「基本契約+個別契約」一体型を想定したものです)。
IT関連の業務委託契約書を弊所で作成(チェック・修正案をご提示)する場合のご説明をしたいと思います。
なお、下記のケースを想定しています。
1 お客さまが受託する
2 契約類型が(ソフトウェア開発等の)請負(成果物の完成を目的とした契約)である
3 お客さまが、クライアントから契約書作成を打診または契約書(内容)を提示されている
請負と委任のちがい
システム開発の委託といっても、請負と委任(正確には準委任。以下、単に「委任」といいます)があります。
また、請負と委任でも違いがあります。
請負は、成果物の完成を目的とする契約です。例えば、プログラムを完成させるなど。 委任は、成果物の完成を目的としない契約です。労働力の提供といったところでしょうか。仕様書作成の支援などです。
業務委託契約書のボリューム
相手方との関係(規模など)により、記載内容・容量は異なりますが、 下記【記載条項一覧】をご覧の通り、業務委託契約書(請負)は、ボリュームが多めになります。
これがクラウド(ASP・SaaS)系となると、もう少し増えます。
SLA(サービス・レベル・アグリーメント)=品質保証に関する条項などを記載する必要があるため、最低でも10ページ(A4、10.5ポイント)程度は必要です。
業務委託契約書作成に関して、弊所からのアドバイス
雛形の選定・準備
お客様ご自身で作る場合、雛形(テンプレート)をご利用になると思います。
ベースにする雛型の選定は、かなり重要です。
文字化けが起こる恐れがありますので、WEBサイト上のサンプル等をコピペしたものの使用は避けてください。
弁護士や行政書士等の専門家にチェックを依頼する場合、誤字脱字・文字化けがあまりにも多いと、別料金が発生したり、チェックしてもらえない場合があるかもしれません。
ですので、誤字脱字はあっても極力少なめに抑えておくと良いと思います。
雛形は、少なくとも2種類以上、できれば3種類使っていただくことをお勧めします。
1 ベースにする雛型(ご自身・貴社の業務に近いもの)
2 上記とは少し異なるパターンの雛形
3 他業界(他業種)の業務委託契約等の雛型
同業者の契約書は、大変参考になります(利用規約も参考になります)。
その中で特に見ていただきたいのは、「成果物の確定」、「仕様変更」、「検収」、「瑕疵担保責任」、「危険負担」、「成果物の所有権」、「知的財産権」辺りです。
また、比較的新しいビジネスの場合、雛形がない、情報が少ないといったことがあります。
その場合でも、類似業種の雛形など、複数の雛形を参考にすることで、抜けが少ない契約書ができると思います。
複数の雛形を利用するのは非常に有効だと思います。
条項によっては、ひとまとめにすることができます。
記載不要の条項もあります。また、請負と準委任とで、記載内容は少し異なります)
弊所で(新規作成の場合に)想定している条項数は、概ね55条前後、項目(お題)は下記のとおりです。 詳しい内容(文言)は企業秘密です(笑)
請負の場合は、記載内容に不備があるとモメることが多いため、以下の条項が特に重要になってきます。 (成果物の確定)(仕様変更)(検収)(瑕疵担保責任)(危険負担)(成果物の所有権)(知的財産権)
(成果物の確定)
作成する目的物を確定させます。
ドキュメント、プログラム(実行ファイル、ソースファイル)など
(仕様変更)
相手方の都合による仕様変更等があった場合など、どのように扱うか等を記載します。
(検収)
納品後の受け入れテストに関すること(合格基準、受け入れテスト期間、期間超過の場合の扱いなど)を記載します。
(瑕疵担保責任)
納品後に見つかった不具合等の修正責任に関することを記載します。
(成果物の所有権)
権利の内容と移転時期(移転条件)など
(知的財産権)
著作権等の内容・範囲、移転時期(移転条件)など
(目的)(定義)(業務内容)(形態)(委託業務の範囲)(下請法に基づく記載)
(期間)(個別契約の締結)(基本契約との優劣)(契約の履行)(完全合意)(指揮命令)
(主任担当者及び開発体制)(業務責任者および統括責任者)(進捗報告)(事前連絡事項)
(委託料および支払方法)(遅延利息)(事務所および機器の使用)(協議会)(資料)
(再委託)(秘密保持)(競業避止)(個人情報保護)(成果物の確定)(納品)
(検収)(瑕疵担保責任)(危険負担)(仕様変更)(共同開発)(保守・サポート)
(成果物の所有権)(知的財産権)(権利義務の譲渡)(保証範囲)(第三者からの権利侵害)
(反社会的勢力の排除)(不可抗力)(従業員等の管理)(乙(または甲)の作業場所)(規則の適用)
(免責)(損害賠償)(禁止行為)(契約の終了)(契約・規約変更)(利益の喪失)(契約解除)
(契約終了後の扱い)(存続条項)(準拠法)(規定のない事項の取扱い)(管轄裁判所)