マイナンバーの導入(稼働)により発生する業務
事業者(法人 ※個人事業主については後述)は、マイナンバーを安全に扱うために、業務フローや社内規程の見直し、従業員研修、システム対応(セキュリティ対策)など、この制度が(本格的に)開始される前に準備をしておく必要があります。
1.取扱い担当者(責任者)の決定
制度の対象業務を担当する部署や責任者を定め、事前の研修や勉強会を実施します。
2.社内体制の整備
社内の各部署でマイナンバーを受け入れる為に「給与」「会計」「人事」など、関連性の高い部署は、事前にマイナンバーに対応したシステムの開発や改修を行う必要があります。
3.マイナンバー取扱いの確認
(特定)個人情報であるマイナンバーを安全に取り扱うため、取得から保管、利用、廃棄などのルールを作成、見直す必要があります。
4.従業員への周知
通知カードの保管、個人番号カード取得の推奨、扶養家族のマイナンバーの確認・取扱い方法など、従業員への周知を徹底します。
マイナンバーを取り扱う部署(経理部門など)においては、マイナンバーの取り扱いについて従業員の教育を行う必要があります。
また、制度の認知、情報管理の面でも研修などを行い安全管理につとめる必要があります。就業規則・守秘義務契約の見直し、修正等も必要になってきます。
5. セキュリティー強化
マイナンバーを取り扱う上でセキュリティー強化は必須です。安全管理上、情報漏洩防止策の検討、組織づくり、社内の情報アクセスを見直し制御するように管理体制を整える必要があります。
6.マイナンバーの取得
取引先など、マイナンバー取得の対象者(従業員を含む)の特定・確認をします。
個人事業主は、「1.報酬等の支払者」、「2.支払を受ける者」としての2つの立場があります。
報酬等の支払者としての立場では、特定個人情報保護委員会からの検査や命令を受けるおそれがありますので、しっかりと管理する必要があります。
一方、支払を受ける者としては、番号確認・身元確認の書類を提示又は、それらの書類の写しを送付するようにします。
1.報酬等の支払者がすべきこと
個人事業主として従業員を雇用して給与を支払っている場合や個人事業主に報酬を支払う場合は、従業員(個人事業主)からマイナンバーを預からなければなりません。
1.1 従業員や業務委託先(個人)からマイナンバーの取得をする場合
原則として、マイナンバーを取得する際は利用目的を告げ、本人確認を行います。
また、利用目的を告げる際には、包括的な利用目的で構わないため、あらかじめマイナンバーの利用事務を洗い出しておき、源泉徴収や年金、医療保険・雇用保険に使うなど包括的な利用目的を告げた方がいいでしょう。
本人確認は番号確認と身元確認を同時に行う必要があります。個人番号カードがある場合、これだけで番号確認と身元証明が終了します。一方、個人番号カードがない場合(通知カードや住民票の場合)、通知カードと写真付身分証明書などで確認する必要があります。
1.2 マイナンバーを利用する場合
マイナンバーは、利用目的以外に使うことはできません。社員番号や取引管理番号としては使わないようにします。
1.3 マイナンバーの保管
マイナンバーの保管は、法令等に明記がある場合以外は許されていませんが、法令等により保管が義務づけられている場合には、その間の保管が許されています。保管期間が終了したものについては速やかに廃棄するようにします。
1.4 マイナンバーを廃棄する場合
特定個人情報を廃棄した場合、その削除又は廃棄した記録を保存する必要があります。
書類の廃棄はシュレッダー等で処理します。なお、電子データを削除する場合には、パソコンで削除を押して、ゴミ箱から消しただけでは不十分です。専用のデータ削除ソフトを使用し、確実に消去するようにします。
マイナンバーの収集・利用・保管・廃棄については、企業の大小を問わずしっかりと適切に行う必要があります。特に本人確認などは、法で定められていますので、きちんと実施するようにします。
また特定個人情報を取り扱う場合には、個人事業主であっても安全管理措置(情報セキュリティ対策)を講じる必要が出てきます。
1.5 個人事業主が最低限行うべき安全管理措置(情報セキュリティ対策)
安全管理措置には、中小企業の緩和措置はありますが、個人事業主向けの緩和措置はありません。中小企業と同等の安全管理措置を行う必要があります。
2.支払を受ける者(個人事業主)がすべきこと
個人事業主は、取引先等からの報酬が一定の額を超えた場合「支払を受ける者」としてマイナンバーが必要になります(取引先等にマイナンバーを提示する必要があります)。 一定の額とは、次の通りです。
外交員、集金人、電力量計の検針人及びプロボクサー等の報酬、料金、バー、キャバレー等のホステス等の報酬、料金、広告宣伝のための賞金については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの
馬主が受け取る競馬の賞金については、一年の中で1回でも支払賞金額が75万円を超えた場合、その年の賞金の全額
プロ野球の選手などに支払う報酬、契約金については、その年中の同一人に対する支払金額の合計額が5万円を超えるもの
弁護士や税理士等に対する報酬、作家や画家に対する原稿料や画料、講演料等については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が5万円を超えるもの
社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの